INTERNAL SURVEY × 健康経営

健康施策の「空回り」を止める。
社内ニーズ調査の設計と実践

施策が届かない根本原因は、企業と従業員の「ニーズのミスマッチ」。
データに基づくニーズ把握が、施策の成功確率を変える。

監修:ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学 | 2026年5月 更新

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この記事のポイント

・健康施策が空回りする原因は企業と従業員のニーズのミスマッチにある

・エンゲージメントサーベイの実施率は49.1%。やっていない企業は28.8%──差がつくポイント

・専門家監修の設問テンプレートから自社に合ったアンケートを自動生成できるツール付き

・アンケートを「やりっぱなし」にしないフィードバック→アクション→再測定のPDCA設計

CHAPTER 01

なぜ、健康施策は空回りするのか

「eラーニングを導入したのに、受講率が低い」「健康セミナーを開いても、参加するのはいつも同じ顔ぶれ」──健康経営担当者なら、一度はこうした「施策の空回り」に直面したことがあるはずです。

その根本原因は多くの場合、企業の「提供したい施策」と、従業員が「本当に求めているサポート」との間に生じるミスマッチにあります。

労務行政研究所の調査(2025年)によれば、従業員エンゲージメント向上のための取り組みを「実施している」企業は92.3%に上る一方、エンゲージメントサーベイの実施率は49.1%にとどまります。つまり、約半数の企業は「従業員の声を体系的に聞かないまま」施策を打っている状態です。

Gallupの2026年レポートでも、グローバルのエンゲージメント率は21%と2年連続で低下。日本は特に低い水準が続いています。「何を提供するか」の前に、「何が求められているか」を聴く仕組みを持つことが、施策を空回りさせないための最初の一歩です。

CHAPTER 02

データに基づくニーズ把握が
もたらす3つのメリット

MERIT 01

施策の「当たり外れ」がなくなる

従業員が本当に求めているテーマにリソースを集中投下でき、投資対効果が最大化します。当社の受講者アンケート(N=4,328)でも、「今後受講したいテーマ」は食事(21.3%)・運動(15.4%)・メンタルヘルス(14.9%)・睡眠(14.0%)の順であり、企業側の想定と異なるケースが少なくありません。

MERIT 02

従業員の「自分ごと化」を促す

「皆様の声をもとに、この施策を企画しました」と伝えることで、従業員は当事者意識を持ち、施策への主体的な参加意欲が高まります。

MERIT 03

潜在的な経営リスクを早期発見する

アンケートは、組織がまだ気づいていない健康課題(例:特定部署のストレス集中、交替勤務者の睡眠問題)を早期に発見する貴重な機会です。ストレスチェックの集団分析を「職場改善に活用している」企業は、健康経営優良法人認定企業で約9割に達しています。

CHAPTER 03 ── TOOL

社内ニーズ調査アンケート 自動生成ツール

専門家が監修した設問テンプレートから、聞きたいテーマを選ぶだけで、自社に合ったアンケートを自動で生成できます。独自の設問追加やカスタマイズも可能です。

社内ニーズ調査アンケート
自動生成ツール

STEP 1. アンケートで聞きたいテーマを選択

ご留意ください:「メンタルヘルス」「女性特有の健康課題」は繊細なテーマです。アンケートの目的とプライバシー保護の徹底を、従業員の皆様へ丁寧に伝えて実施してください。

CHAPTER 04

アンケート実施で失敗しないための
5つの重要ポイント

POINT 01

目的の丁寧な事前周知

なぜこのアンケートを行うのか(目的)、結果をどう活かすのか(活用方法)を事前にしっかり伝えましょう。「自分たちの声が、より良い職場作りに繋がる」という納得感が、回答の質を高めます。

POINT 02

匿名性の担保とプライバシーへの配慮

特にメンタルヘルスや女性の健康など繊細なテーマでは、回答が完全に匿名で処理され、個人が特定されたり人事評価に影響したりしない点を強調し、心理的安全性を確保することが不可欠です。

POINT 03

結果のフィードバックとアクション

「やりっぱなし」は従業員の信頼を最も損ないます。アンケート実施後は、必ず集計結果の概要と「会社として何に取り組むか」というアクションプランを全社に共有しましょう。

POINT 04

回答者の負担を最小限にする

設問数が多すぎると回答率が下がります。初回は5〜15問程度に絞り、テーマを限定して実施するのが効果的です。パルスサーベイのように月1回・少数設問で繰り返す手法も有効です。

POINT 05

ストレスチェック・健診データとの連携

社内ニーズ調査をストレスチェックの集団分析や健診データと組み合わせることで、「主観的ニーズ」と「客観的データ」の両面から課題を立体的に把握でき、施策の精度が格段に上がります。

CHAPTER 05

年1回の大規模調査か、月1回の脈拍チェックか
──「センサス」と「パルス」の使い分け

センサスサーベイ

年1〜2回の大規模調査。設問数30〜100問。組織全体の状態を広範囲に把握できる。年度計画の策定に向いている。

パルスサーベイ

週次〜月次の簡易調査。設問数5〜15問。特定テーマや施策の効果をタイムリーに測定でき、回答負担が少ない。

推奨は段階的導入です。まず本ページのツールで年1回のニーズ調査を実施し、そこで見えた優先テーマに対して施策を打ち、その効果をパルスサーベイで追跡する。この「センサス→施策→パルス→改善」のサイクルが、健康経営のPDCAを回す最も確実な方法です。

EXPERT INSIGHT

「聴く」は施策ではない。
施策の「精度」を変えるインフラである。

法人向けの健康経営支援を続ける中で、私が最も多く見てきた「施策の空回り」パターンがあります。それは、担当者が良かれと思って選んだテーマが、従業員の実際の関心とずれているケースです。

たとえば「うちは製造業だから運動系だろう」と決め打ちしたものの、実際にアンケートを取ると「睡眠」や「食事」への関心が圧倒的に高かった──こうした事例は珍しくありません。

社内ニーズ調査は、それ自体が「施策」なのではなく、すべての施策の精度を変えるインフラです。「聴いてから動く」という順番を組織に定着させるだけで、施策の的中率は劇的に変わります。

── ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学

参考文献・根拠

・労務行政研究所「従業員エンゲージメントの向上施策に関するアンケート」(2025年)

・Gallup "2026 Employee Engagement Trends Report"

・Espresa "2026 Employee Engagement Trends Report"

・ピースマインド「ストレスチェックの"活かし方"」(2025年)

・厚生労働省 改正労働安全衛生法(2025年5月公布)

・経済産業省「健康経営ガイドブック」2025年3月版

・HRBrain「従業員エンゲージメント調査、効果を出す4つの手順」(2025年)

・Agile HR×東京大学「第3回 全国エンゲージメント調査」(2025年)

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果を保証するものではありません。アンケートの実施にあたっては、個人情報保護法および社内規程に基づき適切にご対応ください。

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