多くの企業が健康経営の「重要性」は理解しています。しかし、いざ施策を提案すると、その「投資対効果」を具体的に示せず、計画が承認されないケースは後を絶ちません。
「従業員の健康」という見えない資産価値を、どうすれば経営層が納得する「見える数字」にできるのか?
この記事では、最新の研究データと2025年改訂版ガイドブックに基づき、健康投資の効果を測定し経営層を説得するための具体的なフレームワークを3つのステップで解説します。あなたの提案を「コスト」から「戦略的投資」へと昇華させるための、実践的なガイドです。
KEY METRICS ─ 健康投資の経済的インパクト
7.3兆円
年間損失額(プレゼンティーズム等)
77.9%
健康関連コストに占めるプレゼンティーズム
6.0倍
ROI中央値(国際学術誌)
26,850社超
認定法人数(2026年3月)
まず、健康投資の効果を測る2つの重要な指標を理解しましょう。
💡 提案の鉄則:「ROIで足元のコスト削減効果を示し、VOIで未来への戦略的価値を語る」という両輪のアプローチが、説得力を格段に高めます。
健康施策の価値を示すには、まず「現状(何もしない場合)」にどれだけのコストが発生しているかを可視化する必要があります。
東京大学の研究(5組織・47,348人)によると、企業の健康関連総コストの構成比は以下の通りです。
77.9%
プレゼンティーズム
17.3%
医療費
4.8%
アブセンティーズム
出典:東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット
さらに、横浜市立大学らの大規模調査(27,507人)では、メンタルヘルス不調によるプレゼンティーズム損失は年間約7.3兆円(GDP比1.1%)に達し、アブセンティーズムの約25倍という衝撃的な数字が報告されています。
健康保険組合のデータから「従業員一人当たりの年間医療費」を把握し、業界平均や過去の数値と比較します。
現状コスト = (自社の年間医療費 − 業界平均の年間医療費) × 従業員数
従業員の病欠や休業による、直接的な人件費損失を計算します。休職1件の防止で年間200〜500万円のROIが見込めるとされています。
損失額 = 年間の総病欠日数 × (平均年収 ÷ 年間労働日数)
最も巨大な「見えないコスト」。出社はしているが、心身の不調でパフォーマンスが低下している状態です。東大1項目版(SPQ)やWHO-HPQ等で測定し、損失額を算出します。
損失額 = 対象従業員の総人件費 × 労働生産性損失率(%)
※プレゼンティーズムの主な原因:腰痛・肩こり(23.9%)> うつ・メンタル不調(8.5%)> 花粉症(7.8%)> 眼精疲労(7.4%)> 睡眠障害(5.3%)
出典:Yoshimoto et al.(2025)Journal of Occupational and Environmental Medicine
前提:従業員100人 / 平均年収500万円 / プレゼンティーズム損失率11.2%(平均)
| 年間プレゼンティーズム損失額 | 500万円 × 11.2% × 100人 = 約5,600万円 |
| 5%改善で回復する金額 | 5,600万円 × 5% = 約280万円/年 |
| 健康投資額が年間50万円なら | ROI = 280万 ÷ 50万 = 5.6倍 |
ここまで、各コストの算出方法を解説しました。しかし、これらの計算を手作業で行うのは大変です。そこで、これらの要素を基に、貴社の状況に合わせた投資対効果を瞬時にシミュレーションできるツールをご用意しました。ぜひご活用ください。
3つのステップで貴社の基本情報を入力するだけで、健康経営への投資がもたらす未来の経済的インパクトを可視化します。
シミュレーションで具体的な数字が見えたら、次はいよいよ経営層を説得するための企画書を作成します。
算出したデータをもとに、説得力のある事業計画を組み立てます。2025年版ガイドブックが推奨する「4層KPI構造」を活用しましょう。
経済産業省の健康経営推進検討会(2025年12月)では、以下の方向性が示されました。
「まず、何から算出すればいいか分からない」
「自社に合った健康施策の計画を立てたい」
そんな担当者様のために、現状の課題を整理し、次の一歩を明確にするためのロードマップ診断をご用意しました。
狩野 学 (Manabu Karino)
ウェルネスドア合同会社 代表
アメリカスポーツ医科学会認定トレーナー (ACSM-CPT)
フィットネス・健康分野で約18年間活動。2018年から法人向け健康経営支援を開始し、企業や健康保険組合向けに、科学的根拠に基づいた健康経営コンサルティング、セミナー・研修プログラム、データ分析に基づく施策設計を提供。「健康経営を"やっている"から"成果が出ている"へ」を信条に、継続可能な健康ソリューションを提案している。
【主な情報源】
多くの企業が健康経営の「重要性」は理解しています。しかし、いざ施策を提案すると、その「投資対効果」を具体的に示せず、計画が承認されないケースは後を絶ちません。
「従業員の健康」という見えない資産価値を、どうすれば経営層が納得する「見える数字」にできるのか?
この記事では、健康投資の効果を測定し、経営層を説得するための具体的なフレームワークを3つのステップで解説します。あなたの提案を「コスト」から「戦略的投資」へと昇華させるための、実践的なガイドです。
まず、健康投資の効果を測る2つの重要な指標を理解しましょう。
提案の際は「ROIで足元のコスト削減効果を示し、VOIで未来への戦略的価値を語る」という両輪のアプローチが、説得力を格段に高めます。
健康施策の価値を示すには、まず「現状(何もしない場合)」にどれだけのコストが発生しているかを可視化する必要があります。
健康保険組合のデータから「従業員一人当たりの年間医療費」を把握し、業界平均や過去の数値と比較します。
現状コスト = (自社の年間医療費 - 業界平均の年間医療費) × 従業員数
従業員の病欠や休業による、直接的な人件費損失を計算します。
損失額 = 年間の総病欠日数 × (平均年収 ÷ 年間労働日数)
最も巨大な「見えないコスト」。出社はしているが、心身の不調でパフォーマンスが低下している状態です。アンケート等で概算値を算出します。
損失額 = 対象従業員の総人件費 × 労働生産性損失率(%)
ここまで、各コストの算出方法を解説しました。しかし、これらの計算を手作業で行うのは大変です。そこで、これらの要素を基に、貴社の状況に合わせた投資対効果を瞬時にシミュレーションできるツールをご用意しました。ぜひご活用ください。
3つのステップで貴社の基本情報を入力するだけで、健康経営への投資がもたらす未来の経済的インパクトを可視化します。
シミュレーションで具体的な数字が見えたら、次はいよいよ経営層を説得するための企画書を作成します。
算出したデータをもとに、説得力のある事業計画を組み立てます。
「まず、何から算出すればいいか分からない」
「自社に合った健康施策の計画を立てたい」
そんな担当者様のために、現状の課題を整理し、次の一歩を明確にするためのロードマップ診断をご用意しました。
狩野 学 (Manabu Karino)
ウェルネスドア合同会社 代表
アメリカスポーツ医科学会認定トレーナー (ACSM-CPT)
企業や個人向けに、専門的な知見に基づいた健康経営支援、栄養指導、フィットネスプログラムを提供。科学的根拠に基づいた、継続可能な健康ソリューションを提案している。
【主な情報源】
・経済産業省「企業の『健康経営』ガイドブック」
・厚生労働省「データヘルス・ポータル」