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75歳以上の2人に1人が予備群──
人生100年時代の「フレイル」の正体と
「負の連鎖」を断ち切る3つの柱

「年のせい」と見過ごしていませんか?
フレイルは早期に気づけば健康な状態に戻れる──
最新の科学的根拠に基づく予防と対策を、セルフチェック付きで徹底解説します。

この記事のポイント

  • 健康と要介護の中間地点「フレイル」の正体と、適切な対策で健康に戻れる可能性がわかる
  • 65歳以上の約8.7%がフレイル、約40%がプレフレイル──最新の全国調査データで現状を把握できる
  • 「筋肉の減少(サルコペニア)」を中核に、栄養・社会参加・心の活力が連鎖する仕組みが学べる
  • 「指輪っかテスト」と「イレブンチェック」で今すぐフレイルリスクをセルフチェックできる
  • 負の連鎖を断ち切る「栄養」「運動」「社会参加」の3つの柱と具体的アクションが手に入る

「最近、疲れやすくなった」「外出が少しおっくうになった」──そう感じることはありませんか?

実はそれ、加齢に伴い心身の活力が低下する「フレイル」の兆候かもしれません。フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にあたる、いわば"健康の黄信号"です。

多くの人が「年のせい」と見過ごしがちですが、フレイルは早期に気づき、適切な対策をとることで進行を防ぎ、健康な状態に戻ることも可能です。

この記事では、すこやかな未来の鍵となる「フレイル」の正体と、今日から始められる健康づくりのヒントを、最新のエビデンスに基づいてわかりやすくご紹介します。

第1章:フレイルとは? ── 健康と要介護の分かれ道

「人生100年時代」と言われる今、ただ長生きするだけでなく「健康で自分らしく生きる」ためには、避けては通れないキーワードがあります。それが「フレイル」です。

フレイルは「健康」と「要介護」の中間地点

フレイル(Frailty)とは日本語で「虚弱」を意味し、加齢に伴って心身の活力が低下し、ささいなきっかけで要介護状態に陥りやすい状態を指します。

坂道をボールが転がる様子を想像してみてください。フレイルは坂の途中の踊り場のようなもの。まだ踏ん張れば健康な状態に戻ることもできますが、何もしなければ坂の下まで転がり落ちてしまう、非常に重要な時期なのです。

フレイルには、互いに影響しあう3つの側面があります。

身体的フレイル

筋力低下、疲れやすさ、
活動量の低下など。

精神・心理的フレイル

気分の落ち込み、うつ、
認知機能の低下など。

社会的フレイル

孤立、閉じこもり、
社会とのつながりの希薄化など。

「足腰が弱り(身体的)」→ 外出が面倒になり(精神・心理的)→ 友人との交流が減る(社会的)…
これらは悪循環を生みやすい特徴があります。

データで見るフレイルの"いま"

東京都健康長寿医療センター研究所が全国2,206人を訪問調査した結果、65歳以上の日本人高齢者全体のフレイル割合が初めて明らかになりました。

フレイル該当

8.7%

65歳以上全体

プレフレイル(予備群)

40.8%

65歳以上全体

85歳以上のフレイル率

35.1%

3人に1人以上

※出典:東京都健康長寿医療センター研究所 全国高齢者パネル調査(Murayama H et al. 2020)/ 国立長寿医療研究センター 2025年調査

⚠️ フレイルを放置するとどうなるか

フレイルを放置すると、健康な方と比べて数年後の要介護リスクや死亡率が2倍以上になるという報告があります。フレイル群は、入院・入所、基本的生活機能障害(歩行、食事、入浴など)の発生リスクも有意に高いことが全国データで確認されています。

✨ 希望のデータ:フレイルは改善できる!

最も重要なことは、「フレイルは可逆的である」──つまり適切な対策によって健康な状態に戻ることができるという点です。

日本サルコペニア・フレイル学会のフレイル診療ガイドによると、運動介入はフレイルの進行を予防し得るとして推奨レベルA(最高ランク)で推奨されています。さらに運動と栄養の併用療法も推奨レベルAです。

「もう年だから」と諦める必要はありません。
フレイルという"健康の黄信号"に早く気づき、正しい行動を起こしましょう。

第2章:フレイルの原因 ── なぜ心身の活力は低下するのか?

最大の要因は「加齢」ですが、「年のせい」と片付けるのは早計です。フレイルは、生活習慣の中に潜む様々な原因が、まるでドミノ倒しのように連鎖して起こるのです。

フレイルの始まりは「筋肉の減少(サルコペニア)」

フレイルを引き起こすエンジン役が「サルコペニア」です。加齢や活動量の低下で筋肉の量が減り、筋力が低下した状態を指します。骨格筋量は40歳代から低下が始まり、80歳までに30〜40%低下するとされています。

2025年にはアジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)が6年ぶりに診断基準を改訂し、対象年齢を65歳以上から50〜64歳にも拡大しました。中年期からの予防がいかに重要かを示しています。

筋肉が減ると…

  • 歩くのが遅くなる、すぐに疲れる
  • 信号を渡りきれない、階段で息が切れる
  • ふらついて転倒しやすくなる

負の連鎖を生む「3つの原因」

1. 栄養不足と口の衰え

食事量が減り、タンパク質が不足しがちに。硬いものが食べにくい「オーラルフレイル」が低栄養をさらに悪化させます。

2. 社会とのつながりの喪失

退職や死別を機に外出が減り閉じこもりがちに。社会的孤立は心身の活力を奪う静かな引き金です。

3. 認知機能低下と気力の衰え

意欲の低下は全ての活動を面倒に感じさせ、負の連鎖をさらに加速させます。

フレイル・ドミノを食い止める

「社会とのつながりの喪失」→「低栄養」→「サルコペニア」→「要介護」
この連鎖を、途中で食い止めることが可能です。

セルフチェック:あなたのフレイル度は?

対策の第一歩は「自分の状態を知る」こと。ゲーム感覚で試してみてください。

チェック1:指輪っかテスト 〜あなたの筋肉、足りていますか?〜

利き足ではない方のふくらはぎの一番太い部分を、両手の親指と人差し指で作った輪っかで囲んでみてください。

チェック2:イレブンチェック 〜心と体の総合力〜

各質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。

第3章:フレイルの対策 ── 「負の連鎖」を断ち切る3つの柱

倒れかかったドミノを一つでも立て直せば、負の連鎖は断ち切れます。その鍵が「栄養」「運動」「社会参加」の3つの柱です。三輪車の車輪のように、バランスよく回していくことが大切です。

対策の柱①:栄養

── 食べる力で、からだの土台をつくる

筋肉の材料となるのが「栄養」です。特にフレイル予防では、タンパク質を体重1kgあたり1.0g以上摂ることが推奨されています。

【今日からできるアクション】

合言葉は「さあ、にぎやかに食卓を」

かな・ぶら・く・ゅうにゅう・さい・いそう・も・まご・いず製品・だもの。食卓の色どりを豊かにすると意識するだけで、栄養バランスは大きく改善します。

いつもの食事に「+1品」

  • 朝食のパンに、チーズやヨーグルトをプラス
  • お味噌汁に、豆腐や卵をプラス
  • サラダに、ツナやちりめんじゃこをプラス

お口の健康も忘れずに(オーラルフレイル対策)

しっかり噛んで食べる、食後に「パ・タ・カ・ラ」と発声するお口の体操を取り入れましょう。

対策の柱②:運動

── 動けるからだで、世界を広げる

筋肉は何歳からでもトレーニングで維持・向上できます。フレイル診療ガイドでは、レジスタンス運動・バランストレーニング・機能的トレーニングを組み合わせた多因子運動プログラムが最高ランクで推奨されています。

【今日からできるアクション】

まずは「今より10分多く」体を動かす

散歩やラジオ体操など、無理なく続けられることから始めましょう。

おすすめは「ながら運動」

  • テレビを見ながら、ゆっくり立ち座り(スクワット)
  • 歯磨きをしながら、かかとの上げ下げ
  • 料理をしながら、テーブルで腕立て伏せ

対策の柱③:社会参加

── つながる力で、こころの活力を保つ

2025年の国立長寿医療研究センターの研究では、フレイルの人は健康情報の入手が困難であることが明らかに。ヘルスリテラシーを高めること自体がフレイル予防につながる可能性が示唆されています。

【今日からできるアクション】

  • 「週に1度は、誰かと話す」と決める ── お店の人との一言も立派な社会との接点です
  • 地域の集まりに顔を出す ── 趣味のサークルやボランティアが新しい生きがいに
  • 役割を持つ ── 「誰かの役に立っている」という感覚が日々の活力になります

まとめ

3つの柱は、互いに深く関わり合っています。栄養が満たされれば運動する意欲が湧き、運動して筋力がつけば外出が楽になり社会参加の機会も増え、人と交流して笑い合えば食欲も増進します。

「健康の好循環」を回し始めることが、
フレイルを予防し、自分らしい人生100年時代を歩むための確かな一歩です。

「自分一人では何から始めればいいか分からない」──
もしそう感じたら、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

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ウェルネスドアでは、フレイル予防・転倒予防・認知症予防・栄養改善・オーラルフレイル対策などをテーマに、健康セミナー・出張運動指導・eラーニング・専門家監修を行っています。

執筆・監修:ウェルネスドア合同会社 代表:狩野 学

【免責事項】

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療上のアドバイスではありません。気になる症状がある場合は、医療機関等にご相談ください。

【主な情報源・出典】

  • 東京都健康長寿医療センター研究所「日本人高齢者全体のフレイル割合は8.7%」2025 ─ TMGHIG
  • 国立長寿医療研究センター「健康情報入手とフレイル予防」2025 ─ NCGG
  • 日本サルコペニア・フレイル学会「フレイル診療ガイド」─ JSSF
  • AWGS 2025 サルコペニア診断基準改訂(2025年11月発表)
  • Murayama H et al. "National prevalence of frailty" Archives of Gerontology and Geriatrics, 2020
  • Hirose T et al. "Has Japan overcome COVID-19 pandemic-associated frailty by 2024?" J Nutr Health Aging, 2025
  • 東京大学高齢社会総合研究機構 フレイル予防研究 ─ 東大IOG
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「サルコペニア」─ e-ヘルスネット