EXPERT INSIGHT ─ Diet & Nutrition

専門家が注目する
「時間栄養学」入門
食べる時間で変わる、ダイエットと健康の新常識

「何を食べるか」に「いつ食べるか」を加えるだけで
体のコンディションが変わる──その科学的根拠と実践法

この記事のポイント

  • 「いつ食べるか」が重要な理由──「時間栄養学」の基本がわかる
  • ダイエットの鍵を握るたんぱく質「BMAL1」と体内時計の仕組みが学べる
  • 体内時計を整える、今日から実践できる3つの具体的な食事術が手に入る
  • ご自身の食事リズムが体内時計に合っているかをセルフチェックできる

「食べる量は気をつけているのに、なぜか痩せない…」「日中になんとなく体がだるく、夜は寝つきが悪い…」──そのお悩み、もしかしたら食事の「中身」だけでなく「時間」が関係しているかもしれません。

近年、健康やダイエットの分野で「時間栄養学(じかんえいようがく)」という新しい考え方が大きな注目を集めています。「何を」「どれだけ」食べるかという従来の栄養学に、「いつ」食べるかという視点を加えることで、体のコンディションをより良く整えられることが科学的に分かってきました。

Q. 最近よく聞く「時間栄養学」とは、簡単に言うと何ですか?

A. 「何を食べるか」という従来の栄養学に、「いつ食べるか」という時間軸の視点を加えた新しい考え方です。私たちの体には約24時間周期の体内時計があり、食事のタイミングを合わせることで、食べたものが脂肪になりにくく、効率的にエネルギーとして使われるようになります。

なぜ「時間」が重要?身体に存在する"体内時計"

私たちの体には、約24時間周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっています。この時計は、意識しなくても睡眠と覚醒、体温調節、ホルモン分泌などを自動でコントロールしています。

そして、食事の消化・吸収・代謝といった働きも、この体内時計のリズムに大きく影響されます。つまり、体が「消化モード」の時に食べれば効率よくエネルギーになりますが、「休息モード」の時に食べると、うまく処理できずに脂肪として蓄積されやすくなるのです。

覚えておきたい!夜に増える脂肪蓄積たんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」

体内時計を動かす時計遺伝子の一つに「BMAL1」というたんぱく質があります。BMAL1には、血中の糖や脂肪を体脂肪として蓄積する司令塔の役割があり、この量は一日の中で大きく変動します。最も少なくなるのは午後3時頃。そして、夜10時頃から急激に増え始め、深夜2時〜4時にピークを迎えます。このため、同じカツ丼を食べても、昼に食べるのと深夜に食べるのとでは、体に与える影響が全く違うのです。

Q. ダイエット目的で時間栄養学を実践する場合、最も気をつけるべきことは?

A. 脂肪を溜め込むたんぱく質「BMAL1」が増え始める、夜10時以降の食事を避けることです。特に、揚げ物や脂っこいものの夜食は最も脂肪になりやすいため注意が必要です。夕食はできるだけ早く、軽く済ませるのが鉄則です。

体内時計を整える!今日からできる3つの食事術

1. 朝食は必ず食べる【体内時計のメインスイッチON!】

朝の光を浴びることと、朝食を摂ることが、ズレやすい体内時計を毎日リセットする重要なスイッチです。特に、ご飯やパンなどの「糖質」と、卵や魚、納豆などの「たんぱく質」を組み合わせることで、時計の針が正確に合いやすくなります。忙しい朝でも、おにぎりとゆで卵、ヨーグルトなど簡単なもので構いません。

2. 夕食は軽めに、寝る3時間前までに【BMAL1の活動を避ける!】

BMAL1が増え始める夜の時間帯は、揚げ物や脂っこいものを避け、野菜やきのこ、豆腐といった消化の良いものを中心に。どうしても夕食が遅くなる場合は、夕方におにぎりなどを食べておき、帰宅後は具沢山の味噌汁やスープだけにする「分食」も賢いテクニックです。

3. 食べる時間を12時間以内に収める【内臓の休息時間を作る!】

例えば朝食を朝7時に食べたら、その日の食事は夜7時までに終える。このように、1日の食事を12時間以内に収めることで、胃腸などの内臓がしっかりと休息する時間を確保できます。内臓の疲れが取れると、翌日の消化吸収能力や代謝機能が高まることが分かっています。

あなたの食事リズムは大丈夫?
セルフチェックで振り返ろう!

ここまでのポイントを踏まえ、ご自身の食事習慣が体内時計に合っているか
このページの下にある測定ツールで振り返ってみましょう!

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よくある質問(FAQ)

Q. シフト勤務で食事の時間が不規則です。どうすれば良いですか?

シフト勤務の方は体内時計の調整が難しいですが、諦める必要はありません。まずは「勤務シフトの中で"朝食"と見なす食事を決めて必ず摂る」「夜勤明けの食事は消化の良いものにする」など、できる範囲で食事のリズムを作ることが大切です。

Q. 食べる時間が重要なら、食べる内容は気にしなくても良い?

いいえ、それは誤解です。時間栄養学は、従来の栄養学に「時間」という新しい視点を加えたものです。「何を食べるか(栄養学)」と「いつ食べるか(時間栄養学)」は、健康づくりの両輪とお考えください。

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執筆・監修:狩野 学(かりの まなぶ)

ウェルネスドア合同会社 代表。約18年間フィットネス・健康領域で現場支援に携わった後、2018年より法人向け健康経営支援を本格展開。

【主な情報源】

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「時間栄養学」
  • 柴田 重信(早稲田大学先進理工学部)ほか 関連論文

【免責事項】本記事および測定ツールは、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果を保証するものではありません。個人の健康状態や病状に応じた食事については、必ずかかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。

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