健康経営対策シリーズ 第1回

2026年度の健康経営施策、
年間計画をどう立てる?
── 担当者向けロードマップと
優先順位の考え方

健康経営の年間計画は「毎月セミナーを入れること」ではない。
課題整理→実施→評価→次年度改善までつながる
「年間設計」の考え方を体系的に解説する。

監修:ウェルネスドア合同会社 代表 狩野 学 | 2026年6月 更新

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この記事でわかること

・2026年度の年間計画で最初に決めるべきこと──「何月に何をやるか」より「何を改善したいか」

・年間計画を整理する4つの軸(制度対応・自社課題・季節連動・行動変容)

月別・時期別に考える施策の組み方──年間スケジュール例

・2026年度に優先順位を上げたい6つの重点テーマ

・計画倒れにしないための3つの実務チェックポイント

CHAPTER 01

年間計画は「何月に何をやるか」より先に
「何を改善したいか」を決める

年間計画を立てるとき、最初から「春はこのセミナー、夏はこのテーマ」と埋めていくと、施策の数は増えても、自社課題とのつながりが弱くなりやすくなります。

まず整理したいのは、今年の健康経営で何を改善したいのかです。たとえば、生産性向上なのか、離職予防なのか、認定取得や更新なのか、高年齢労働者の安全衛生なのかによって、優先すべき施策は変わります。

年間計画はイベント表ではなく、
課題に対してどの順番で何を打つかを整理した実行設計
として考えると、社内説明もしやすくなります。

2026年度は特に、改正安衛法の施行(高年齢労働者の安全衛生対策)、ストレスチェック制度の50人未満事業場への拡大、熱中症対策の義務化、健康経営度調査の評価項目変更など、制度面の動きが大きい年です。これらの法改正対応を年間計画に組み込むことが、健康経営認定にも直結します。

CHAPTER 02

年間計画は「4つの軸」で考えると
整理しやすい

軸 01

制度・法改正対応

2026年度は、改正安衛法による高年齢労働者の安全衛生対策(4月施行)、ストレスチェック制度の50人未満事業場への義務拡大(2027年施行予定・準備開始年)、改正安衛法による熱中症対策の義務化(4月施行)など、制度や指針の動きを無視できません。法改正から逆算して、社内周知・研修・体制整備を計画に組み込みます。

軸 02

自社課題対応

健康診断結果、ストレスチェック集団分析、職種特性、年齢構成、休職・離職傾向などから、自社特有の健康課題を整理します。何を優先すべきか見えていない場合は、まず課題整理そのものが重要な施策です。健康経営度調査の回答項目に沿って自社の現状を棚卸しすることも有効です。

軸 03

季節・生活習慣対応

熱中症、睡眠、感染症、食生活、運動不足、メンタルヘルスなどは、季節や働き方と組み合わせることで参加率や実践性を高めやすくなります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」や各種健康月間(9月の健康増進普及月間、10月のピンクリボン月間等)との連動も効果的です。

軸 04

社内浸透・行動変容対応

どれだけ良い施策でも、参加されなければ定着しません。対象者設定、参加しやすい時間帯、管理職の巻き込み、継続しやすい形式など、「実施される設計」まで含めて考える必要があります。健康経営度調査2026では参加率・効果検証の開示が評価に直結するため、「やった」だけでなく「測った」ことが問われます。

CHAPTER 03

2026年度の年間スケジュール例

具体的な年間計画は企業ごとに異なりますが、「時期ごとの役割」で整理すると、単発施策に見えにくくなります。

Q1

4〜6月:基盤づくり・初動整備

前年度の振り返りと今年度の目的整理。重点テーマの設定。改正安衛法施行に伴う高年齢労働者対策の体制整備。熱中症対策の初動整備(WBGT測定器の設置・暑熱順化プログラム開始)。健康経営度調査の回答準備開始。

Q2

7〜9月:季節対応・データ収集

熱中症対策の運用確認と現場巡視。睡眠・疲労・食生活の見直し施策。ストレスチェックの実施とメンタルヘルス施策の整理。9月の健康増進普及月間に合わせた全社キャンペーン。健康経営度調査の回答提出(8〜10月頃)。

Q3

10〜12月:深化・エビデンス整理

認定・更新を見据えたエビデンス整理。女性の健康支援と管理職理解促進(10月ピンクリボン月間連動)。参加率・満足度・理解度の中間確認。インフルエンザ等の感染症対策。高年齢労働者の体力チェック実施。

Q4

1〜3月:総括・次年度設計

施策の総括と効果検証。次年度の重点テーマ設計。社内報告資料・改善提案の整理。健康経営優良法人の認定結果発表(3月頃)を踏まえた次年度戦略の策定。

CHAPTER 04

2026年度に優先順位を上げたい
6つの重点テーマ

健康経営で扱うテーマは多岐にわたりますが、2026年度は法改正・制度変更と連動して、以下のテーマを年間計画の中で優先して整理しやすい年です。

THEME 01

高年齢労働者の安全衛生対策

転倒・腰痛・体力低下・配置配慮。2026年4月施行の改正安衛法により、60歳以上の労災防止措置が事業者の努力義務に。体力チェック(見える化)の実施、職場環境のエイジフレンドリー化、エイジフレンドリー補助金(最大100万円)の活用を検討。

THEME 02

メンタルヘルスとストレスチェック後の職場改善

ストレスチェックの50人未満事業場への義務拡大(2027年施行予定)に向けた準備開始年。集団分析結果を活用した職場環境改善、管理職向けラインケア研修、心理的安全性の醸成が重要テーマに。

THEME 03

熱中症対策の体制整備と現場周知

2026年4月施行の改正安衛法で、WBGT値の測定・暑さ指数に基づく作業管理・労働者への教育が義務化。「暑熱順化」の仕組みづくり、休憩場所の確保、水分・塩分補給体制の整備を計画的に実施。

THEME 04

睡眠・休養・疲労回復を起点としたパフォーマンス対策

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を踏まえ、睡眠の質改善を健康経営の中核テーマに。健康経営度調査2026でも睡眠に関する設問が拡充。プレゼンティーイズム対策としても費用対効果が高い領域。

THEME 05

女性の健康支援と管理職理解促進

こども家庭庁「プレコンセプションケア推進5か年計画」の策定を背景に、女性特有の健康課題(月経・PMS・更年期・不妊治療)への理解促進が加速。健康経営度調査でも女性の健康に関する評価項目が強化されています。

THEME 06

参加率・効果検証の可視化

健康経営優良法人2026の認定では、パフォーマンス指標(プレゼンティーイズム・アブセンティーイズム・ワークエンゲージメント)の測定・開示が上位認定の必須要件に。「やった」だけでなく「測った」「改善した」の証拠づくりが認定継続の鍵。

CHAPTER 05

計画倒れにしないための
3つのチェックポイント

CHECK 01

テーマが課題とつながっているか

「人気テーマだから」ではなく、自社の健康診断、ストレスチェック、働き方、組織課題と結びついているかを確認します。健康経営度調査の回答項目と照らし合わせて、施策の「根拠」を明確にしておくと、社内稟議も通りやすくなります。

CHECK 02

対象者と形式が合っているか

全社員向けか、管理職向けか、特定層向けか。対面・オンライン・動画配信のどれが適切かを整理しておくと、参加率が変わります。特に現場作業者やシフト勤務者には、録画配信やマイクロラーニング形式が有効です。

CHECK 03

評価方法を先に決めているか

実施後に「よかった」で終わらず、参加率、反応、満足度、理解度、次に必要なテーマまで見えるようにしておくと、継続施策にしやすくなります。健康経営度調査では効果検証の方法と結果の記載が求められるため、施策実施前に評価設計を完了させることが重要です。

SUMMARY

健康経営の年間計画は、「どんなテーマがあるか」を並べることよりも、自社に必要な順番を整理することが重要です。

2026年度は、改正安衛法(高年齢労働者対策・熱中症対策)、ストレスチェック制度の拡大準備、睡眠ガイド対応、女性の健康支援、健康経営度調査の評価項目変更など、健康経営の中でも優先して考えたいテーマが多くあります。

だからこそ、単発イベントの積み上げではなく、課題整理→実施→評価→次年度改善までつながる「年間設計」として健康経営を進めていくことが大切です。

参考文献・根拠

・経済産業省・健康経営優良法人認定事務局「健康経営ガイドブック2025」

・ACTION!健康経営「健康経営優良法人2026」関連情報(認定数26,850社)

・厚生労働省「高年齢労働者の安全衛生対策について」(改正安衛法 2026年4月施行)

・厚生労働省「高年齢労働者の労働災害防止のための指針」(2026年2月公示・4月適用)

・厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」(50人未満事業場への義務拡大)

・厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」(改正安衛法 2026年4月施行)

・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

・こども家庭庁「プレコンセプションケア推進5か年計画」

・経済産業省「健康経営度調査 令和7年度(2026年度)フィードバックシート」

【免責事項】本記事は健康経営に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的・医学的な助言を行うものではありません。具体的な制度設計や個別事案への対応については、社会保険労務士・産業医等の専門家にご相談ください。

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