EXPERT INSIGHT ─ テレワーク × 最新エビデンス × 健康経営
テレワーカーは出社社員より1日4,000歩少ない──
座位10.6時間超で心不全リスク急上昇──
最新エビデンスが示す「座りすぎの代償」と「22分の運動で取り戻す方法」を徹底解説します。
「今日はよく歩いたから大丈夫」──そう思っていませんか?
テレワークが当たり前になった今、通勤や移動の負担が減った一方で、運動不足・座りすぎ・肩こり腰痛・孤立感・生活リズムの乱れなど、心身の健康に関する新たな課題が浮き彫りになっています。
厚生労働科学研究班の調査では、テレワーク社員の2大健康課題として「コミュニケーション低下」(49%)と「運動不足」(45%)が挙げられ、約6割の企業が対策を何も行っていない実態が明らかになりました。
この記事では、座りすぎの「量」がもたらす健康リスクと、テレワーク環境で起こりやすい肩こり・腰痛の原因と対策を、最新の科学的エビデンスに基づいて徹底解説します。
テレワークは柔軟な働き方を可能にする一方で、働く人の健康や業務効率に影響を及ぼす課題も見えてきました。テレワーク社員は出社社員と比べて1日あたり約4,000歩も歩数が少ないことが判明しています。
WORST 1
勤務時間とプライベートの境目が不明確
在宅勤務では「仕事の終わり」が見えづらく、残業が増えたり、オン・オフの切り替えが難しくなる傾向があります。
WORST 2 ★
運動不足・座りすぎ
通勤や外出の機会が減り、身体を動かす時間が激減。肩こり・腰痛・体力低下・メタボリスクが高まります。
WORST 3
コミュニケーションの減少
雑談や相談が減り、業務連携への影響に加え、孤立感からメンタルヘルス不調にもつながります。
※出典:厚生労働科学研究「企業担当者のための健康に配慮したテレワーク実践ガイド アクティブ・テレワークのすすめ」
近年、座りすぎ(長時間の座位行動)は「新しい喫煙」と呼ばれるほど深刻な健康リスクとして世界的に注目されています。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りすぎの予防が全世代向けの推奨事項に新たに追加されました。
国民健康・栄養調査によると、平日の座位時間が8時間以上の日本人は男性38%、女性33%。世界20カ国を対象とした調査でも、日本人の座位時間は世界的に見てかなり長いことが報告されています。
座位時間別の死亡リスク(1日あたり)
4時間未満
1.00
基準値
4〜8時間未満
1.02
倍
8〜11時間未満
1.15
倍
11時間以上
1.40
倍
※出典:van der Ploeg HP et al. Arch Intern Med, 2012(対象222,497人、追跡2.8年)
最新研究が示す新たなリスクライン
1日10.6時間が心臓リスクの「分水嶺」
英国バイオバンク89,530人のデータ分析により、1日の座位時間が10.6時間を超えると心不全・心血管死リスクが急上昇することが判明。しかもこのリスクは、推奨レベル(週150分以上)の運動をしている人でも解消されませんでした。
職場座りすぎは全死亡+16%・心血管死+34%
台湾481,688人を平均12.85年追跡。仕事中に座っている時間が長い人は、全死亡リスクが16%、心血管疾患による死亡リスクが34%高いことが示されました。リスク相殺には1日15〜30分の追加運動が必要です。
テレワーカーの健診データが1年で悪化
東京医科大学と大東建託の共同研究(対象3,689人)では、テレワークに移行した男性社員は、血圧・LDLコレステロール・肝機能・メタボリックシンドローム該当率が有意に悪化。テレワーク頻度が高いほど悪化が顕著でした。
長時間の座位が身体に与える影響は多岐にわたります。代謝機能の低下、中性脂肪レベルの上昇、善玉コレステロール(HDL)の低下、インスリン感受性の低下(血糖値が下がりにくくなる)──これらの変化は、糖尿病・心血管疾患・肥満・認知症などの発症リスクを高める要因となります。
活発な作業に従事する人は、デスクワーク中心の人に比べて心血管疾患や全体的な健康リスクが低い傾向があり、座りっぱなしの時間が長い職種では、意識的な運動の取り入れが不可欠です。
睡眠以外の時間で、1日に座っている
合計時間を入力してください。
※本診断はWHOやシドニー大学の研究等を基にした一般的な情報提供を目的としており、医学的診断に代わるものではありません。
座りすぎのリスクは深刻ですが、研究データは同時に「動くことで取り戻せる」ことも明確に示しています。
22 分/日
1日わずか22分の中〜高強度運動で、1日10.5時間以上の座位による死亡リスク上昇が消失
BJSM 2023(50歳以上 11,989人)
150 分/週
WHO・厚生労働省が推奨する週あたりの中強度有酸素運動時間。1日約22分に相当
WHO / 厚労省 身体活動・運動ガイド2023
座位時間対策の具体例
01
30分ごとに立ち上がる
血流回復と代謝維持に最も効果的。タイマーやスマートウォッチを活用。
02
スタンディングミーティング
オンライン会議は立って参加。集中力向上と眠気防止にも。
03
昼休みに10分ウォーキング
近所を一周するだけでも約1,000歩。気分転換にもなります。
04
簡易スタンディングデスク
本やダンボールで簡易スタンディングデスクも作れます。
05
座位時間の可視化
ウェアラブルデバイスやアプリで自分の座位時間を把握。
06
座りすぎ防止チャレンジ
社内健康イベントとして歩数や立ち上がり回数を競う。
あてはまる項目にチェックを入れてください。該当が多いほど、肩・首・腰への負担が高まりやすい状態です。
テレワークでは、通勤や社内移動がなくなるぶん座っている時間が長くなりやすくなります。さらに自宅ではオフィスほど机・椅子・照明・画面位置が整っていないことも多く、同じ姿勢を続けることで首・肩・腰への負担が蓄積しやすくなります。
厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」でも、1時間以内で作業サイクルを区切ること、10〜15分の作業休止や小休止を設けることが示されています。
BEST 1
机・椅子・画面位置を整える
足裏が床につき、前腕を机に置けて、画面上端が目線付近になるのが理想。"仕事用の姿勢"を作るだけで負担はかなり変わります。
BEST 2
1時間以内で区切り、姿勢を変える
「正しい姿勢を保ち続ける」より「同じ姿勢を続けない」ことが重要。立ち上がる、歩く、軽く伸ばすだけでも違います。
BEST 3
不調が出る前に、こまめにリセット
痛みや張りが強くなる前に、肩を回す・胸を開く・腰を伸ばすといった小さな動きを習慣化する方が続きやすくなります。
明日から見直したい3つの実践対策
重い疾患が疑われない一般的な腰痛では、過度に安静にしすぎないことも大切です。
テレワークの健康課題は、個人任せにすると改善しにくいことがあります。企業側が少し支援するだけでも、取り組みのハードルは大きく下がります。
環境整備
運動・ストレッチ
文化づくり
データ活用
座りすぎ対策のカギ
長時間の座位は、心血管疾患・糖尿病・肥満・認知症などの健康リスクを高める危険因子です。1日10.6時間以上の座位が心不全リスクの急上昇ラインです。
しかし、1日わずか22分の中強度運動でリスクは大幅に軽減できます。
肩こり・腰痛対策のカギ
テレワークの肩こり・腰痛対策は特別な器具を揃えることだけが目的ではありません。「仕事しやすい姿勢を作る」「同じ姿勢を続けない」「小さく動く」の3つを回し続けることが、最も続けやすい対策です。
週150分以上の身体活動を目指し、日常の中で「動く習慣」を意識しましょう。
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ウェルネスドアでは、テレワークによる運動不足・座りすぎ・肩こり腰痛・生活リズムの乱れ・メンタルヘルスなどをテーマに、健康セミナー・動画配信・eラーニング・専門家監修を行っています。
執筆者:ウェルネスドア合同会社 代表:狩野 学
健康経営支援・法人向け健康セミナーの企画運営を専門とし、200名以上の専門家ネットワークを通じた多角的な健康支援を提供。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の治療や改善効果を保証するものではありません。強い痛み、しびれ、急激な悪化がある場合は、医療機関等にご相談ください。
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