EXPERT INSIGHT ─ 健康診断 × 生活習慣 × 健康経営

健康診断の結果、
見て見ぬフリはもう終わり。
40代から知るべき男女別の健康リスク

健康診断は、未来の身体から送られてきた「警告」であり、最高の「アドバイス」。
男女で異なるリスクを正しく理解し、今すぐ始められる改善策を専門家が解説します。

📊 令和6年(2024年)定期健康診断実施結果

有所見率 59.4%(過去最高を更新)

59.4%

定期健康診断
有所見率(過去最高)

33.8%

20歳以上男性
肥満者の割合

35.4%

女性の
高LDLコレステロール血症

1,100万人

糖尿病が強く
疑われる者(推計)

出典:厚生労働省「令和6年 定期健康診断実施結果」/「令和6年 国民健康・栄養調査」

健診結果は、未来の自分からの「手紙」

── 40代・50代は、長年の生活習慣と身体の変化が同時に現れる分岐点

💬 狩野 学|ウェルネスドア合同会社 代表

年に一度届く健康診断の結果。「C判定(要経過観察)」や「D判定(要精密検査)」の文字を見ても、「自覚症状がないから大丈夫」「忙しくて再検査に行く時間がない」と、つい後回しにしていないでしょうか。

その行動は、10年後の健康を大きく左右するかもしれません。健康診断は、未来の身体から送られてきた「警告」であり、最高の「アドバイス」です。

令和6年(2024年)の定期健康診断では、有所見率が59.4%と過去最高を更新。働く人の約6割に何らかの異常が見つかっている計算です。特に男女で身体の変化が大きくなる40代・50代では、結果の数値を正しく理解し、対策を講じることが何よりも重要になります。

KEY POINTS

この記事でわかること

40代・50代の健診結果に潜む男女別の重要サインと、
今すぐ始められる具体的な生活習慣の改善策を整理します。

⚠️

40代・50代は健康の分岐点

長年の生活習慣と身体の変化が同時に現れる時期。ここでの判断が10年後の健康を大きく左右します。

🔵

男性:肝機能・内臓脂肪・尿酸値

日々の飲酒や食生活の影響がダイレクトに数値に現れやすい男性特有の傾向と警戒サインを解説します。

🔴

女性:コレステロール・骨密度

女性ホルモンの減少に伴うLDLコレステロール上昇や骨密度低下など、更年期以降の「静かなるリスク」に備えます。

CHAPTER 1 ─ 男性編

生活習慣が直結する
「有所見率7割」の現実

── 日々の飲酒・食生活がダイレクトに数値に現れる男性特有の傾向

統計的に、日本の50代男性の約7割が健康診断で「有所見者」、つまり何らかの異常が見つかるとされています。令和6年(2024年)の国民健康・栄養調査では、20〜60代男性の肥満者(BMI 25以上)が34.0%に達し、特に40代(37.9%)・50代(39.9%)で高い割合を示しています。

これは、日々の飲酒や食生活の影響がダイレクトに数値として現れやすい男性特有の傾向です。特に以下の3つのサインには警戒が必要です。

SIGN 1

γ-GTPの上昇

アルコールの指標として知られますが、実は食べ過ぎによる「脂肪肝」でも数値は上昇します。「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓からの、数少ない重要な警告です。令和6年の定期健康診断では、肝機能検査の有所見率は16.2%に達しています。

SIGN 2

腹囲の増加と高血圧

内臓脂肪の蓄積を示す腹囲の増加は、高血圧や糖尿病のリスクを飛躍的に高めます。自覚症状なく進行するため、血圧の数値は常に意識しましょう。20歳以上男性の高血圧者の割合は38.5%、血圧検査の有所見率は18.4%です。

SIGN 3

尿酸値の高さ

激痛を伴う痛風の原因となるだけでなく、腎機能の低下や心筋梗塞のリスクを高めることも近年の研究で指摘されています。内臓脂肪の蓄積やアルコール摂取との関連も深く、生活習慣の見直しが改善の鍵です。

📝 実務メモ:男性の健診異常は、飲酒・食事・運動不足という「日常の積み重ね」に直結しています。裏を返せば、生活習慣を変えることで数値の改善を実感しやすいのも男性の特徴です。

CHAPTER 2 ─ 女性編

ホルモンバランスの変化がもたらす
「静かなるリスク」

── エストロゲンの「守り」が失われたあとに起きること

40代・50代の女性は、更年期を迎え、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が大きく減少します。エストロゲンには血管や骨を保護する重要な働きがあり、この「守り」が失われることで、これまでとは異なる健康リスクに直面するのです。

令和6年(2024年)の国民健康・栄養調査では、女性の高LDLコレステロール血症の割合は35.4%に達し、男性(32.6%)を上回っています。食事内容を変えていなくても、ホルモンバランスの変化だけで数値が大きく動くのが、この年代の女性の特徴です。

CHANGE 1

悪玉コレステロール(LDL)の急上昇

食事内容を変えていなくても、エストロゲンの減少によって数値が急上昇しやすくなります。自覚症状なく動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めるため、最も注意すべき項目の一つです。定期健康診断における血中脂質検査の有所見率は35.2%と最も高い項目となっています。

CHANGE 2

骨密度の低下

骨がもろくなる「骨粗しょう症」は、将来の骨折や寝たきりに直結します。QOL(生活の質)を著しく下げるため、健診のオプション項目であっても積極的に受診を検討しましょう。エストロゲンの減少は閉経後5〜10年で骨密度を急速に低下させます。

CHANGE 3

血圧の上昇と血糖値の変動

エストロゲンに守られていた時期が終わり、血圧や血糖値のコントロールが不安定になりがちです。これまで正常だった方も、数値を注意深く見ていく必要があります。令和6年調査では、女性の高血圧者割合は50代で急上昇し、60代以降は男性に迫る水準に達しています。

📝 実務メモ:女性の健診異常は、生活習慣だけでなくホルモン環境の変化が大きく影響します。「食べすぎていないのに数値が悪くなった」場合は、更年期に伴う身体の変化を疑い、婦人科やかかりつけ医への相談も検討しましょう。

ACTION PLAN

結果を活かすのは、あなた自身。
明日からできるアクションプラン

── リスクは男女で異なりますが、生活習慣の改善が重要である点は共通しています

🔵 男性におすすめのアクション

▶ 飲み会での賢い選択
最初のビール一杯の後は、糖質の少ないハイボールや焼酎へ。締めのラーメンは我慢し、おつまみは揚げ物より枝豆や冷奴、焼き鳥(塩)を選ぶ意識が大切です。

▶ 「ちょい足し」で食事改善
丼ものや麺類で済ませがちなランチには、カット野菜やゆで卵、もずく酢などをプラス。手軽に栄養バランスが向上します。

🔴 女性におすすめのアクション

▶ 大豆製品を味方につける
納豆、豆腐、豆乳などに含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンと似た働きをします。1日1品、積極的に食卓に取り入れることをお勧めします。

▶ 「骨活」を意識した運動
骨は刺激を与えることで丈夫になります。ウォーキングや階段の上り下りのほか、自宅でできる「かかと落とし」など、骨に負荷をかける運動が効果的です。

SUMMARY

10年後の自分のために、
健診結果を道しるべに

健診結果を放置せず、男女それぞれの特性に合わせた対策を始めることが
10年後の健康を守ります。

01

知る

男女で異なるリスクの「正体」を理解する

02

読む

健診結果の数値が伝えている「警告」を正しく受け取る

03

動く

今日から始められる小さなアクションで未来を変える

健診結果は「不安の材料」ではなく、「改善のヒント」です。
数値が悪かったこと自体よりも、その後に何もしないことの方がリスクです。
ご自身の健診結果と照らし合わせ、できることから始めてみましょう。

「自分の健診結果のどこを見れば良いか分からない」
そんなお悩みはありませんか?

ウェルネスドアでは、健康診断の読み方セミナーなどの開催も可能です。
専門家が一人ひとりの結果に合わせた改善プランをご提案します。
「従業員の健康リテラシーを高める機会を作りたい」という企業様もお気軽にご相談ください。

※ 相談は無料です | テーマ・時期・対象者が未定でもご相談いただけます

📚 関連コラム・サービス

健診活用コラム Vol.2

「要精密検査」の封筒を
捨てないで!

放置が招く3つの代償と賢い受診ガイド。

詳細を見る ▶
健診活用コラム Vol.3

3か月の
生活習慣リセット術

血圧・血糖・コレステロール・肝機能を立て直す実践編。

詳細を見る ▶
エキスパートインサイト

従業員の睡眠と
メンタルヘルス

睡眠の乱れが生活習慣病リスクに直結するメカニズムと施策設計。

詳細を見る ▶
サービス

法人向け
健康セミナー

健診結果の読み方・食事・運動・メンタルヘルスなどテーマ別に設計。

詳細を見る ▶
サービス

業種別おすすめ
健康セミナー

業種別の課題と健康施策の選定ガイド。

詳細を見る ▶
サービス

サービス・料金
一覧

セミナー・研修・健康支援の料金体系をご確認いただけます。

詳細を見る ▶

SUPERVISOR

狩野 学(かりの まなぶ)

ウェルネスドア合同会社 代表。約18年間フィットネス・健康分野で活動し、2018年より法人向け健康経営支援を開始。データに基づいた健康施策の効果測定と、行動変容を促すプログラム設計を専門とする。

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の効果を保証するものではありません。個人の健康状態や病状に応じた食事や生活習慣については、必ずかかりつけの医師や管理栄養士にご相談ください。

【主な情報源・参考文献】
・厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査 結果概要
・厚生労働省「令和6年 定期健康診断実施結果」(有所見率59.4%)
・厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドローム
・厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の健康
・日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」
・日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2024」
・日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版」